種子病理セミナー ≪種子伝染性病害をめぐる国際情勢 塩見寛(タキイ種苗)≫ ■世界の種子マーケット 市場規模7.7兆円のマーケットの8割は穀物 日本は世界7位 種苗業界世界ベスト:①モンサント ②デュポン ③シンジェンタ バイオメジャー多い ■種子の国際移動と種子伝染性病害 国内で使われる種子の9割は海外採種 高温高湿時期に採種は難しいので日本は厳しい そのため晩生の品種を育種しようとするといざ採種の時期に花が咲かないといったことが起こる ↓ それを海外採種で解決 汚染種子が発生すると、種子は病原体にとって環境が良いため広がりやすい 種苗会社の海外展開が進行する中で種子の海外生産さらに増加→輸出入量増加 →しかし、リスク増大のため検疫検査厳格化で貿易に弊害 種子病害に関する国際組織:ISTA  ISF APSA FAO IPPC WTO EPPO ISTA:国際検査の規則策定や証明書の発行等を行う(発芽検査法など)    種子健全性Seed healthの向上 ISHI:検査方法や基準、サンプルサイズ(検体種子量)の決定   ISTAが軽視した野菜病害にも重き置く ISHI-JPには住化農業資材の斎藤茂氏がメンバー ISHIで策定した検査法をISTAに精査してもらう流れも存在する リアルタイムPCRによるプリスクリーンを導入するのが最近のISHI検査法のトレンド 種子病理検査の基本False psitiveは許されるがFalse negativeは許されない 海外の検査機関(会社) 例)NACT(オランダ)は種子登録、法定検査と私的検査を実施 トマトの種子をヨーロッパで売る場合はトマトかいよう病がフリーである事を認可してもらう 必要がある(GSPP認証) 【会場からの質問】 ISHIによって検査法が認証されていく流れにおいて、新しい病害に対してどう対処するか? どこかしらの検査機関の評価されている検査方法を採用してクイックに対応 伝染率の計算の仕方:1粒1粒調べて、100粒のうち何粒汚染されたかを調べて出す ISHIのサンプルサイズの確定方法は汚染伝搬率で決めてる? →種苗会社の経験値、どこかしらの種苗会社が10000粒調べたら大体安心できる結果になっているといったデータからサンプルサイズを採用、確定 花粉伝染に関しては種子病理研究会では今のところ研究対象にしていないが動向を注視している ≪農林水産省 横浜植物防疫所調査研究部病害担当トキタ様≫ 近年輸出入検疫で問題となっているウイルス病について ■輸出入検疫の概要 輸入禁止品と輸入検査品がある 肉眼検査に見つけにくい場合エライザ法PCRブロッター法検査等の精密検査を行う 輸出相手国の要求事項としては精密検査が多いが、栽培地検査や無発生証明がそれに代わる 場合もある。 侵入を警戒する病害トマト種子の場合はToBRFV 検査方法の検出方法の違いによって発現を後からしか確認が出来なかったケースが近年多い サブサンプル400粒×N個 1次検定 SYBR Green法 ≪岩崎≫ (病害虫リスク評価)病害虫リスクアナリシス→検疫の対象か否かの判断、検疫方法と基準策定 ・農業生産への影響➀定着の可能性 ➁まん延の可能性 ③経済的重要性(農林産物へ与える被害の大きさ) 4.6点以下は無視できる ・入り込みの可能性 5点満点 ■リスク管理の基本的な考え方 日本に住み着く可能性や措置が有効かどうか等 【会場からの質問】 どれくらいの期間をかけてリスクアナリシスをするか。→ケースバイケースで何年かかかる場合もある。 ≪農林水産省 消費安全局植物防疫課防疫対策室 岡田和秀≫ 改正植物防疫法と侵入警戒、国内防除の強化 ■植物防疫制度の概要 輸入検疫、国内検疫、国内防除、輸出検疫等を行い対策 ■植物防疫法の改正 ➀今回の改正植物防疫法改正は、海外との種子の貿易が増え行く中、海外から病害虫が入ってくることを防止するのが大きな理由 各地に誘殺トラップを設置することで侵入警戒調査を実施し、分布状況等を確認 法改正後の違い:全国斉一的な調査が可能な制度設計がなされた。 ➁通報義務 農家や研究者等の一般人に、病害虫は発見した場合の通報を喚起している。 ➂緊急防除の迅速化 ④植物防疫をめぐる状況の変化 防除所へのアンケートの結果、病害虫による被害が増えているとのこと。 分布・発生地域の拡大 薬剤抵抗性病害虫の発生 化学農薬の利用を最低限に抑えつつ病害虫の予防・判断・防除を行う「総合防除」を新たに定義 ⓹総合防除を推進する枠組みの創設 有害動植物を指定、基本指針策定を国が行い、都道府県が細かな総合防除計画を定める 計画内の遵守事項は農業者が決めることが出来る。 ■まとめ 農業者との連携を強化することで通報を受けたり、新たな防除体系の実証・確立が大事 ≪農林水産省 植物防疫課 輸入検疫班 中川寛明≫ 種子輸入に係る植物検疫の現状について ■種子の輸入検疫の現状 ⑴種子輸入検疫について まん延防止 ⑵輸入形態 携行品・貨物・国際郵便物(クーリエ等) 携行品や国際郵便物では書類等に不備があり、リスクの高い種苗の持込がけねんされる。 ■輸入時の検疫措置 ⑴リスクに応じた検疫措置 輸入禁止 稲など籾殻のついた種子 ⑵ ⑶検疫措置の例 ■緊急的な対応 ⑴緊急対応の必要がある事例 検疫有害動植物が輸入検査で発見等 ➀緊急対応の具体例 検疫検査でネガティブも国内での輸入検査にポジティブ ②研究により発生国や病原が発見された場合 ⑵輸入時のチェック体制の強化 輸出国の監査等をしていないが、チェック体制が必要である ≪農林水産省 植物防疫課 国際室輸出検疫班 谷口英樹≫ ■輸出検疫 ⑴輸出検疫とは 相手国の要求が最も大事。それに合わせて書類を整えていく ⑵自国から輸出する植物に関してはPhyto、IPが必要 相手国によっては栽培地検査、精密検査、消毒等の特別な条件 ■登録検査機関制度導入 植防だけだとキャパ越えで手がまわらないので 今回の改正で一部の検査を民間の登録検査機関で実施 →栽培地検査、消毒検査、精密検査及び目視検査などの区分別検査 申請は検査区分ごとに行う。 申請は原則E-MAFFで行う。 ■その他の改善点 ⑴輸出検疫に関する対象及び権限の強化 ⑵出国旅客の携帯品に対しチェックを強化 ⑶輸出検疫違反に対する罰則 三年以下の懲役または100万円以下の罰金等、厳格化 ⑷検査数量の見直し ■電子申請導入 輸出検査予約Pquick等をeMAFFで行うことが可能となった。 ≪農研機構植物防疫研究部門 井上康宏≫ ■ムギ類黒節病発生生態 遺伝子診断PCR LAMPはDNAさえ残っていれば死菌も検出される が特別な経験値や技術を必要としない高精度かつ迅速な診断 選択培地 生菌の分離が可能だが判別難しく経験が必要 採種したコムギ、オオムギ種子の汚染粒率検定 原原種、原種栽培ではハウスでの雨除け栽培により汚染粒率は高まらないことが判明。 菌株を採種して分離されていった菌株を遺伝子型で分類することによって感染経路を特定できる。 例)種子生産を行った圃場にある菌株と一致する場合、 種子感染してることが推定できる。 黒節病の多発を防ぐためには種子消毒だけでなく、 防除を行った方が良い リスク要因解析?? ■ムギ類黒節病の防除方法 ・発病条件 発病に与える低温の影響 →遅まきすることによって発病を防げる 12月上旬播種であれば減収が見られない。 原原種 原種はシードラック水和剤 それ以降はZボルドーの使用を奨励 雨除け栽培・ハウス栽培が有効 ★今回大事なのは総合防除の考え方。 ただ消毒して防除するのではなく、農業者のコスト面においても持続可能な施策により防除に寄与する方法を策定していく必要がある。 それはすなわち時期を変えて播種をしたり、冷蔵庫で種子冷することにより生菌を減らす等して必ずしも ハイコストな農薬を使用しないことも考慮に入れる必要がある。 それにより今後さらに種子の国際移動が増え行く中で、病害を種子感染させるリスクを軽減しながらも輸出入をする上で弊害が発生しにくい防疫体制を構築していくことが期待できる。