蛍袋に宿りし仄か (セリフ) ---語り継がれるその言葉。 託された想い。 頭(こうべ)を垂れた貴方に宿る、 仄かな、確かな、光の筋を追って--- やっとこの季節が来ましたねと 皆はだんだん明るい顔になる 貴方はその中で一人俯(うつむ)きながら そうだね、そうだねと 静かな吐息(といき)を零(こぼ)している 私もそれを見ながら そうですね、そうですねと 微笑み返す 皆の噂話は面白可笑(おもしろおか)しく 脚色華美(きゃくしょくかび)にて本(ほん)の当(とう)は何処へやら 毒と刃が絡んだ蜜に 誰もが舌鼓を打つ 「嘘モ本当モ関係ナイ!」 「誰ガ被害者カ」 「誰ガ加害者カ」 「正シサナンテ正義ナンテ」 「誰モ救エヤシナイノサ!!」 ザワリザワリと風が吹いた 「貴方モ此方(こちら)ヘドウゾ」 嗚呼、私は孤独とも参りませぬ 貴方の名が好きだから 貴方の言葉が好きだから この心は移り気だけど ただひとつ仄(ほの)かな想い 貴方にだけ、嘘は吐かない 宿る緑の光、ひとつ 時の過ぎ去るはとても早くて 全ては光陰矢の如し 乙女の命は短く、それは男子(おのこ)も 最後の力を貴方は振り絞り 然(しか)して 私も盛りを過ぎて色褪せる 時とは、ほんに残酷なものですね 皆の声もすっかりひっそりと 噂話よりも死に話が流れ始め 哀哀(あいあい)と語られる無常達 誰もが溜息を零し囁き始めた 「嘘モ本当モ関係ナイ」 「誰ガ被害者カ」 「誰ガ加害者カ」 「正シサナンテ正義ナンテ」 「誰モ救エヤシナイノサ……」 風が吹いて桶屋が笑った 「貴方モ此方ヘドウゾ」 嗚呼、貴方と共になら参ります 貴方の名を守るなら 貴方の言葉を守るなら この心は移り気で 確かなどない それを承知で願います 貴方が認められるこの世を 萎れかけた釣鐘型の花に 小さな光が灯る それは僅か二十日(はつか)の命 「では行って参ります」 男が言う 「お勤めご立派で御座います」 女が言う 男は光に気付いて萎れ花を摘んだ 己の全てを託すように女に渡し 女はそれを見て全てを悟る 「何年、何十、例え命尽きようとも」 「この先誰と添い遂げようとも」 「語り継ぎましょう」 女の願いが果てるとも 緑の光が探すは真実の未来 (セリフ) ---今は昔となりつつある時代、 世界に悪と裁かれた人たちがいた。 彼らに宿っていたのは何だったのか。 行いは歴史により断ぜられ、 未だその存在が物議を醸す彼らの魂、 その有り様の真実を知る者はいるのだろうか。 まるで何かを探すように 蛍が一匹、闇夜に溶けて---